家族信託が必要ないケースを解説

利用者が増えている家族信託、「みんなが利用しているのなら」と契約を考える人もいます。しかし家族信託にもメリットとデメリットがあり、万能なわけではありません。家族信託の必要ない人が利用を開始しても、意味がなくなります。
今回は、家族信託が必要ないケースと、必要ないと勘違いをするケースの解説です。

家族信託が必要ないケースとは?

相続対策は、はやりで利用するものではありません。家族信託の利用者が増えていますが、自分が欲している制度とは違うこともあります。
大切なのは、自分にあった相続対策を実行することです。必要ないケースに該当する場合は、他の相続対策を検討しましょう。

財産に不動産がない

財産に不動産がない人は、家族信託でない制度の検討をおすすめします。逆に賃貸経営をしている人は、家族信託を健康なうちに取り入れるべきです。
家族信託の主な目的は、財産の継承先の指定と管理権の委託、財産に不動産がある場合に大きな効力を発揮します。
財産に不動産がない場合は、別の制度を検討しましょう。

家族が疎遠

家族仲が悪いなど、家族が疎遠の場合は、家族信託の利用は難しいです。本人とは良好な関係でも、子ども同士で仲が悪いケースもあります。どちらかに受託者をお願いすれば、さらに仲を悪化させるかもしれません。
家族信託は家族を信じて委託する制度、そのため家族仲も重要です。例え本人と子どもの仲が良好でも、後々のトラブルを考え成年後見制度などの検討が必要かもしれません。

任せられる家族がいない

子に恵まれたとしても、明らかなギャンブル癖があるなど、任せられないケースもあります。お金を一時預けるだけでも不安が生じるようならば、家族信託は利用するべきではありません。

家族信託が必要ないと勘違いするケースとは?

家族信託が必要ないと勘違いをしているケースもあります。
確認をしておきましょう。

本人が健康

本人が健康ならば家族信託は必要ないと解説する人もいますが、それは勘違いです。特に財産で賃貸経営をしている人は、家族信託を検討しましょう。
今が健康でも、明日が健康の保証はありません。「誰でも一緒、若くても明日の保証はない」と話す人もいることでしょう。その通りです。若い人も明日の保証などありません。要は可能性の問題です。年齢を重ねれば、交通事故にあうケースも高まり、小さな事故でも大けがにつながる可能性があります。いつ健康が失われても不思議ではありません。
相続対策は、判断能力が低下するとできなくなります。
逆を言えば健康なうちに始めるのが相続対策、健康だから家族信託はまだ不要と解説するのは間違いです。
家族信託の利用は、財産の内容で検討をしましょう。健康だからで始めないのは危険です。不動産がある人は、家族信託を検討してください。

別の相続対策をすでにしている

遺言書を作成したから大丈夫と思っている人はいませんか?家族信託は別物です。認知症を患った場合など、判断能力が低下した状況であっても遺言書を開くことはできません。不動産の所有権は本人のままです。不動産を処分して入院費に利用したいと考えても、スムーズにことは運びません。時間がかかります。
家族信託は、遺言書では不十分な箇所をカバーする制度です。必要ないと勘違いをしてはいけません。

相続対策は弁護士に相談をする

家族信託は必要ないと決めつけるのは問題です。不動産を所有している人ならば検討すべき制度です。しかし、任せられる家族がいないなど、利用ができないケースもあります。
どの制度を利用すべきか、その人の状況によって異なることから、間違った制度の利用を考えるかもしれません。
無駄な相続対策を防ぐためにも、総合的な判断を弁護士に相談しましょう。家族信託の利用を含め、自分の置かれた状況から的確なアドバイスを受け、相続対策を実行することをおすすめします。